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タイに来て先ず訪れるのはワットプラケオ(エメラルド仏寺院)ではないでしょうか。日本のお寺と全くちがった趣きのタイのお寺に驚かれたことでしょう。暑い日ざしにオレンジ、緑、紺のかわら屋根が輝き、硝子モザイクや金箔で飾られた建築物には目を奪われますが、寺院全体を囲んでいる回廊の壁画には一体何がえがかれているのかと思われたが多いと思います。ここには、インド古代文芸を代表する大叙事詩「ラーマーヤナ物語」のタイ版「ラーマキエン物語」が描かれているのです。「ラーマーヤナ物語」は紀元前10世紀頃からインドで語り継がれ東南アジア各国に伝わり、その後それぞれの土地の文学、文化に強い影響を与えその国独自の国民文学となりました。カンボジアではアンコールワットの回廊に浮彫としてありますし、インドネシアでは影絵芝居の題材や美しいジャワ更沙(バティック)の模様にもこの物語のエピソードが使われています。中国に伝わり「西遊記」に、更に日本に伝わり「桃太郎」のお伽話に影響を与えたという説もあります。タイでは学校の教科書でも親しまれ、古典舞踊の題材や工芸品のモチーフにもよくみうけられてます。さて、「ラーマキエン」とは「ラーマの栄光」という意味でこの物語のテーマは「勇気」「忠実」「誠実」です。物語の主人公は「ラーマ王子」ですが、現王朝の国王の称号が「ラーマ○世」というのもこれにちなんでいます。スコータイ時代の名君「ラームカムヘーン大王」も「勇敢なラーマ王子」という意味です。道路の名前もその名をとった「ラームカムヘーン通り」又「ラマ○世通り」というのもたくさんありますね。地名でも「アユタヤ」は物語に出てくる「アヨーダヤ」に由来しています。この様に物語の影響が様々な所へ及んでいることを知ると「ラーマキエン」が身近に感じられます。さて、ワットプラケオに行かれますと先ずこの話がどこから始まっているか調べてみましょう。「エメラルド寺院の見取図」をごらんになるとおわかりいただけますが、北中央門の右手から話が始まり、全部で178場面の壁画が描かれています。ワットプラケオを建てられたラーマ1世の命に代り描かれましたが、高い湿度の為損傷が激しく何度も修復され今日に至っています。とても長い物語ですので登場人物は100人と多く、登場人物は顔の色や冠の形などを区別されます。すべてのお話を御紹介すると、反って全体がとらえにくくなるので次回では話の大筋をたどってみましょう。
<エメラルド寺院の見取図>
回廊の「ラーマキエン」の壁画は北中央門の右手から始まり右回りに続いています |
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(1)ウボーソット(エメラルド仏を安置)
(2)プラサート プラ テープ ドビーン
(3)2つの金色のチェディ
(4)プラ モンドシップ(経蔵)
(5)プラ シー ラタナ チェディ
(6)アンコールワットの模型
(7)ホー プラ モンティエン タム
(8)ウイハーン ヨート
(9)ウイハーン プラ ナーク
(10)8つの プラーン |
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